小林一茶の俳句「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」ばりに世界進出を進めるトランプ米大統領。専門家はどう見ているのか──。

すぐ戦争を煽る日本メディアの危険性

2020年の国際報道は米トランプ大統領によるイスラム革命防衛隊のスレイマニ氏殺害というニュースから始まった。国内主要メディアは海外報道の煽りを受け「第三次世界大戦開始か!」と言わんばかりの過剰報道を垂れ流した。酷いものにはトランプ大統領が気まぐれな思い付きでスレイマニ氏を殺害したとするものまであった。

主要メディアは冷静な分析を放棄し、ひたすら戦争を煽った。(AFLO=写真)

米国大統領は世界最大の軍事力を持つ国家の最高司令官である。その最高司令官が何の考えもなしに敵対する国家の要人を暗殺するだろうか。大統領の側近たちは思い付きの案を提示するのか。誰でも少し考えればおかしな報道であったことがわかる。戦争を心配するふりをしながら、それを煽り立てるパニック報道の恐ろしさを垣間見た。

現状までのイラン情勢はトランプ政権の思惑通りに推移している。イラン側の米国に対する表立った報復が米軍基地に対するミサイル攻撃のみであり、しかも事前にイラク政府に通知したうえで、米兵の死者が出ないように事実上配慮したものであった。トランプ大統領の完勝であったことは明らかだ。