セックスレスから抜け出すにはどうすればいいのか。医師のエレン・ストッケン・ダールとニナ・ブロックマンは、「セックスをする日時をあらかじめ決めておくのも一つの手だ。それ以外のときはセックスのことを考えずにすむので、性欲が自然と戻ってくる」という――。

※本稿は、エレン・ストッケン・ダール、ニナ・ブロックマン著、池田真紀子訳『からだと性の教科書』(NHK出版)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/Rattankun Thongbun
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女性の性欲はコントロールできる

さまざまな実験から、“女性の性欲は頭のなかにあり、それを操作することは可能である”ことがわかっています。だけど、どうやって?

エミリー・ナゴスキーがわかりやすく説明してくれています。体のてっぺんから指示を出す、気配り上手の指揮官としての脳を想像してみましょう。指揮官は体や周囲の環境から送られてくるシグナルを休みなく受け取り、解釈し、組み合わせて、微調整をほどこしながらイメージを作っています。神経系とそこから脳に向けて発せられるシグナルは、0と1からなるコンピュータの情報のように、とても単純な構造をしています。

たとえば“進め”(興奮)と、“止まれ”(抑制)のシグナルが同時に送られてきたとしましょう。脳は、興奮のシグナルと抑制のシグナルのバランスを調べ、その瞬間、体に向けて発するべき指示を判断します。もしみなさんがブレーキペダルを思いきり踏んでいるとしたら、同時にアクセルペダルを踏んだとしても、何も起こりません。結果は前と同じ――みなさんは停止したままです。

意識的にであれ無意識的にであれ、みなさんを性欲から遠ざけている理由がそれぞれブレーキペダルに少しずつ力をかけていると想像してみてください。たとえばストレス、鬱状態、自分の体に対する自信のなさ、罪悪感、オーガズムを得られないのではとの不安。一つひとつの力は小さいけれど、全部が集まると、ブレーキペダルは床に届くくらい深く踏みこまれ、ものごとは完全に止まってしまいます。