ヤフーの次世代リーダー育成機関「Yahoo!アカデミア」で学長を務める伊藤羊一氏は、2年ほど前から1日2回の瞑想を習慣にしている。伊藤氏に瞑想を指導した人材開発コンサルタントの大嶋祥誉氏との対談で、伊藤氏はビジネスパーソンにとっての瞑想の効用を語った——。
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忙しいトップビジネスパーソンこそ、「頭を休ませる方法」が必要だ――。伊藤羊一氏(左)と大嶋祥誉氏(右)

忙しい日々の中“リセット”ができない状態に

【大嶋】伊藤さんに超越瞑想をご指導させていただいたのは、かれこれ2年ほど前になります。どのようなきっかけで受けようと思われたのでしたか?

【伊藤】あんまり“忙しい”と言いたくないのですが、実際、いつも大量の仕事や依頼でパンパンの状態なんです。で、周りを見ると、忙しい、デキるビジネスパーソンほど長い休暇を取ってリフレッシュに出かけたりしている。ところが僕は、気分転換やリフレッシュの方法を持っていなかったんです。365日、完全にオフの日がなくて、元旦も何かしらやっている。いわゆる“リセット”ができなかったんです。

20代のころにメンタルを壊してしまった経験があるんですが、そこから復活したときに仕事に救われたようなところがあって、仕事が楽しくなったのはいいけれど、一方で仕事に触れていないと怖くなる、という副作用が生まれてしまったのではないかなと自分では考えています。

【大嶋】常に仕事のことを考えている感じなんですね。ワーカホリックのような。

一日一日に区切りをつけることの大切さ

【伊藤】まあ、それが自分の生きざまなので仕方がないかとも思いつつ、パンクするのは嫌だなぁと。僕は15年ほど前に文具・オフィス家具のメーカーで物流の仕事をしていたんですが、その中で、物流が平常状態からパンクしていくさまをずっと見てきたわけです。

パンクって、物理的に何かしらボトルネックが現れたときだけじゃなくて、物流の量が多いだけでも起こる。ジワジワきてあるとき“パン”と破裂してしまう。人間の心と体もそれと非常に近いものがあると本能的に感じていて。パンクを防ぐには、“一日一日に区切りをつける”ということがとても重要だという感覚があった。その「日々に区切りをつける」ツールとして瞑想がフィットするのではないかと思ったんです。