2019年12月20日、つけ麺の「大勝軒」が長野県の志賀高原スキー場に店を開いた。店主の田内川真介さんは、“ラーメンの神様”の異名を取った故・山岸一雄氏の愛弟子で、大勝軒の伝統を守る第一人者だ。なぜスキー場で本格的なつけ麺を出すことにしたのか。ノンフィクション作家の北尾トロさんが聞いた――。
撮影=北尾トロ
長野県・志賀高原スキー場にオープンした「大勝軒」

あの「大勝軒」が長野のスキー場に店をオープンさせた深い理由

広大なゲレンデと雪質の良さで知られるものの、白馬スキーエリアなどに比べて飲食店が少なく、ホテル内での食事を好まない海外からきた客のニーズに十分こたえられない……。

そんな悩みを抱える長野県の志賀高原スキー場に、2019年12月20日、つけ麺で有名な「大勝軒」がオープンした(経営は、株式会社大勝軒TOKYO。正式名称:大勝軒NEXT志賀高原ショップ。以下「大勝軒」)。

超有名店の長野県初進出とあって、地元紙「信濃毎日新聞」は12月20日付の紙面で「大勝軒の味、ふるさとで つけ麺の店、志賀高原に 山ノ内で少年時代―故山岸一雄さん考案」と大きく扱った。開店日にはテレビの人気情報番組がさっそく食レポに訪れるなど話題になっている。

撮影=北尾トロ
代表的メニュー「あつもり」。

「外国からのお客さまにも受けるでしょうし、関東はもちろんのこと、関西からくるスキーヤーも大勝軒の名は知っている。縁があって当ホテルの入り口わきで営業してもらうことになりましたが、志賀高原スキー場全体にとってもうれしいことです」(志賀一井ホテル社長・児玉市郎次さん)

でも、どうして志賀高原なのか。