第69代横綱 白鵬

1985年3月11日 、モンゴル国ウランバートル市生まれ。宮城野部屋所属。本名はムンフバト・ダヴァジャルガル。身長192cm、体重155kg。2000年秋、モンゴル出身の旭鷲山をつてに来日。宮城野親方(現・熊ヶ谷親方)に引き取られ、細い体は逞しく変貌。素質と稽古の熱心さ、そして素直な人柄は誰もが認めるところで、四股名を「大鵬と柏戸を合わせて柏鵬に」と検討されたほど。最強の体は食べて寝ることでつくられた。1日16時間は眠る。幕内成績(2009年7月場所終了現在)366勝93敗。幕内優勝11回。


 

65キロで日本にやってきて、今は155キロです。

入門時はとりあえず体を大きくするために、親方(元・竹葉山、現・熊ヶ谷親方)付きっきりでちゃんこ指導を受けたことが有名になっていますが、無理やり食べさせられていたのではありません。部屋のちゃんこは美味しかった。そのあまり、食べすぎて吐いてしまったこともありましたが(笑)。

小学校のときに相撲雑誌を見て太った力士に憧れました。日本の相撲界で美味しいものを食べて太りたい、と思っていたのです。

モンゴルでは羊や馬など、肉ばかりを食べていたので、野菜や大豆製品などが多く入ったちゃんこ鍋はバランスがいい。体に力が漲るようで、日に日に強くなっていく実感がありました。

入門して3カ月は、ただ食べて昼寝していただけ。相撲界はなんて素晴らしいんだと。ただ、80キロまで増量してからが大変。それまで休んでいた分、3倍、4倍の稽古が待っていたのです。

力士の食事は昼と夜だけのシンプルなもので、昼は部屋のちゃんこ、夜は奥さんの手料理です。日本にいるモンゴル人の友人がモンゴル料理を指導してくれます。「ポーズ」という小籠包のようなものや、ピロシキに似た「ホーシュール」、野菜と肉のスープにうどんを入れた「ゴイモントイシュル」など、いろいろと作ってくれる。どれも美味しいですよ。

ときおり出掛けるときは、焼き肉やステーキ、すき焼きが多いですね。紹介したどちらの店も肉の美味しさはもちろん、場所がいい。高い場所が好きなんです。肉はそれほどたくさんは食べませんが、最高にリフレッシュできて気持ちが満腹になりますね。

よく、序ノ口力士がちゃんこを食べる頃には、鍋には肉や魚はなくスープだけ、と言いますね。若い衆のツラさ、ひもじさ、年功序列の厳しさを表すエピソードなのでしょうが、あれはあれでいいんです。兄弟子たちが食べた肉、魚の栄養、いい脂がスープにたっぷりと溶け込んでいる。このスープが体に肉をつけます。猛稽古のあとで食欲がわかないときでも、ご飯にスープをぶっかけてかっ込めるでしょう。

体の出来上がった関取が先に食べ、成長途上の若い衆が後に食べる。相撲の世界は理に適っている部分が多いんですよ。