「猫町倶楽部」は13年前に名古屋で4人からはじまった読書会だ。それがいまや年間の開催回数は約200回、参加者はのべ9000人という日本最大規模の読書コミュニティとなった。なぜ巨大なムーブメントに成長したのか。主宰の山本多津也氏は「心地良い会にするために、たった1つだけルールを決めている」という――。
写真提供=猫町倶楽部

読書会をライフワークにすると決めた日


「自分1人ではなかなか読み終えることができない本も、仲間とともに期限を決めれば最後まで読める。そして、本から学んだことを互いに語り合うことで、より理解を深めることができて、継続して生かしていくことができる」

プリヤ・パーカー『最高の集い方 記憶に残る体験をデザインする』(プレジデント社)

いまや日本最大規模の読書コミュニティ、猫町倶楽部は、山本多津也さんのこんな思いから始まった。

猫町倶楽部の読書会への参加条件は課題本を読み終わっていること。ルールはたったひとつ、「決して他人の考えを否定しない」ことだ。

第1回が開かれたのは2006年の9月。参加メンバーは4人、課題本はカーネギーの『人を動かす』だった。2時間にわたってそれぞれが感想を述べあった後、参加者全員がいつにない充足感に包まれたという。

「セミナーや講演会のようなインプットだけではなく、得た学びをアウトプットすることの驚くべき効果を実感しました」

このとき山本さんは「読書会を一生続ける」と決めたという。

「本を読んで語り合うという形で生涯勉強をし続ける」

読書会の軸となるコンセプトが、固まった。