彼女にフラれ、「桜」の道に

食うための仕事ではなく、自分が興味を持つことを生業にできれば……。そう願う人は多いだろう。自己実現はむずかしいが、「趣味」のために転職して活動を続ける例もある。

桜の見方や生態について熱っぽく語る中西一登さん。水戸一高では直木賞作家・恩田陸さんらと同級生だった。

会社員生活のかたわら、国内外の桜を観察し続ける中西一登さん(55歳)は、「サクラリーマン」を自称する。18年3月20日に放送された人気番組「マツコの知らない世界“桜の世界60分スペシャル”」にも登場。どピンク(桜色)のジャケットを着て現れ、マツコ・デラックスさんをあぜんとさせた。

「私の『桜ホームページ』(当時で全国1400カ所の桜を紹介)やツイッターの情報を見てオファーをいただいたのが出演のキッカケです。『どうせなら1年間追いかけましょう』と密着取材が始まり、ロケは18回も実施。未公開映像も相当あります」と笑う。

桜との出合いは会社員だった20代の終わり。「7年半付き合っていた彼女にフラれ、心の傷を癒やすための一人旅」からだった。

「今なら妻子もいないし自由に時間をつくれる」と仕事を辞めて、それまでの貯金をもとに国内各地を訪ね歩いた。どうせ回るなら何かテーマを持とうと、「桜」と「紅葉」に決めて向き合った結果、前者の花と木に魅了された。