多くの人が勘違いしている「所得税」の計算方法

確定申告の時期が近づいてきた。私のような芸人やフリーランスで仕事をしている人、そして個人事業主はもちろんのこと、給料から税金を天引きされているビジネスパーソンの方も、住宅ローン控除などがあれば確定申告をする必要がある。きっと、毎年訪れる「恒例行事」のように感じている人も多いのではないか。

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私は元国税局の職員で、法人税の調査をしていた。企業の申告漏れなどを税務調査するのが主業務だった。しかし、確定申告の期間中は確定申告作成会場に応援に行き、手続きに不慣れな高齢納税者の方などの申告書作成のお手伝いなども行っていた。そんなわけで今回と次の2回にわたり、数学的な観点からみた所得税に関する興味深い注意点などについて考えてみたい。

ご存じのように所得税とは、所得にかけられる税金だ。日本の最高税率は現在45%であり、給与所得からさまざまな控除を差し引いた「課税所得」が4000万円を超える人が対象だ。45%が高いか低いかはいろいろな意見があるだろうが、1983年には75%だった最高税率は、その後ほぼ一貫して下がってきた。そうした意味で、高所得者の重税感は緩和されてきたのではないか。