タクシー運転手は法律上、乗車拒否をすることはできない。それでは、乗客が暴力団関係者の場合はどうなのか。理崎智英弁護士は、「相手が暴力団関係者でも同じだ。乗車拒否はできない」という——。
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限られた場合にのみ乗車を断ることができる

「空車」のタクシーが目の前を通り過ぎてしまった、という経験をしたことがあるかもしれません。実は、これは違法行為です。タクシー運転手は法律上、「乗車拒否」はできないのです。

これは道路運送法13条に定められています。タクシー運転手は、法律上、運送引受義務を負っているので、お客さんから乗車を求められた場合には、いくつかの例外を除いて、乗車拒否をすることはできません。

タクシー運転手が、個人的に「このお客さんは乗せたくない」と思っていても、乗車を求められた場合には、それを拒否することができないということです。

ただ、いくつかの例外はあります。これは道路運送法13条と旅客自動車運送事業運輸規則13条に規定されています。以下、乗車拒否ができる場合を個別にご紹介します。

①定員オーバーになる場合
車両によって乗車定員が決められているので、それをオーバーするような人数の乗車を求められた場合には、乗車を拒否することができます。

②危険物を所持している者
法令により定められた制限を超えた火薬類、揮発油、有毒ガス発生物質等の危険物を所持している場合には、乗車を拒否することができます。