薬物中毒はだいぶ前から知られていた

NHKは沢尻エリカの大河ドラマ出演シーンを撮り直す必要はなかった。私はそう考える。

これは少数意見ではない。文春オンラインでは、沢尻の部分を撮り直すべきかアンケートをしていたが、「撮り直しの必要はない」が50%を超えていた。

写真=時事通信フォト
映画「猫は抱くもの」完成披露試写会の舞台あいさつに登壇した女優の沢尻エリカ容疑者。上海国際映画祭に出品が決定した同作は6月23日に公開された(東京都千代田区の丸の内ピカデリー)=2018年6月5日撮影

撮り直しをする必要がない理由はいくつかあるが、それは後にして、NHKの混乱ぶりから見ていきたい。

11月17日早朝、クラブから帰ってきた沢尻を麻薬取締法違反の容疑で逮捕したのは、マトリ(厚労省地方厚生局麻薬取締部)ではなく、警視庁組織犯罪対策5課(以下、組対5課)であった。

『週刊ポスト』(12月6日号)によると、両者は競い合う関係で、過去、酒井法子やASKAを挙げたのは組対5課で、ピエール瀧や元KAT‐TUNの田口淳之介を挙げたのはマトリだった。

組対5課は、「来年3月で5課長が定年退職する」(ポスト)ため、花道を飾ってやろうという意識も強かったそうだ。

そこに、「9月下旬に沢尻の違法薬物使用に関する確度の高い情報提供があった」(警視庁関係者)という。

一方のマトリの方も、沢尻とも接点のある人気女優Xに違法薬物使用疑惑があり、やはり9月頃から捜査を本格化させていたそうだ。その関係から、沢尻にも薬物疑惑があることを把握していたが、まずXを挙げ、その先に沢尻逮捕も視野に入れていたという。

組対5課に先を越された形になったが、マトリのほうもX逮捕を含めて、「次は大物歌手Yの内偵にシフトする」(社会部記者)といわれているようだ。

だが、後でも触れるが、沢尻の薬物中毒は、だいぶ前から知られていたことであり、『週刊文春』は何度も、その疑惑について追及していた。

それなのに、なぜ動かなかったのだろう。