老後資金をどう準備するのが正解なのか。重要なことは想定外のリスクに備えておくことだ。シニアの読者4人の「お金に関する想定外」を紹介しよう。第4回は「夫の再就職が立ち消え、月給が4分の1に」――。(全4回)

夫の再就職が立ち消え、月給が4分の1に

【定年時の貯金額】5000万円以上

多くの企業では定年後も仕事を続けられる「継続雇用制度」を導入している。しかし、収入は大幅にダウンするのが一般的。収入を維持したければ、別の会社に再就職するしかない。

服部さん(仮名)58歳、女性、専業主婦●家族構成/夫(再雇用)、長男(独立)、次男(独立)、三男(大学生)

服部さんの夫は定年後に別の会社で仕事をすることを選んだ。服部さんはこう語る。

「60歳を過ぎてから新しいことを始めるのは、すごく抵抗があると思います。主人も“給料”か“心の安定”か、どちらを選ぶのか悩んでいました」

長年、公務員として働いてきた服部さんの夫を、定年後、民間企業で役付として迎えたいという話が持ち上がった。勤務地も遠くなるので夫は躊躇していたが、長男に「前向きにチャンスをつかまなくてどうするんだ」とはっぱをかけられ、勇気を出したのだ。

「ところが、急にその話がなくなってしまったのです。いまいる職場に、継続雇用の意思を伝える締め切り2週間前のことでした。時間も新たな再就職先を探す気力もなく、そのまま同じ職場で働くことになりました」

給料は現役時代の4分の1程度に激減。定年後のマネープランは大きく狂ってしまった。とはいえ、生活のレベルを下げることができず、毎月、大幅な赤字が続いている。