六本木ヒルズ内のカフェで、毎月開かれている公開講座「麹町アカデミア」。学頭・秋山進氏は「徹頭徹尾、自分のためだけにやっている。僕にとっては、クラブ活動のようなもの」という。そんな講座が人気を集めている理由とは——。
防衛省分析官による情報分析の体験講義。インテリジェンススキルをビジネスパーソン向けに解説する

自分が知りたいことを知るための場所

現在の麹町アカデミアの会場は、六本木ヒルズ内のカフェ、PARK6だ。学頭の秋山進さんと事務局の山仲喜美子さんの話を聞きに訪れたのは、ちょうど月1回の講座のある日。その夜のテーマは「混迷の世界を透視する技術:防衛省元情報分析官による『武器になる情報分析』体験講座」、講師は上田篤盛氏だ。

プリヤ・パーカー著・関美和訳『最高の集い方 記憶に残る体験をデザインする』(プレジデント社)

準備がはじまり、ざわざわしている会場の様子に「いやあ、今日もすごく楽しみですね」と、うれしそうにそわそわしている秋山さん。運営側の立場の人とは思えない、まるで一参加者のようなその様子には理由がある。麹町アカデミアで開かれる講座のテーマや講師はすべて、秋山さんたちの興味だけで決めている、といって過言ではないのだ。

「徹頭徹尾、自分たちが知りたいことを知るためにだけにやっています」

受講者の興味関心だとか世の中のトレンドなどは一切関係ない。ふと頭に浮かんだ「気になる」ことをより深く知るために、あるいは、全く未知の世界への好奇心のおもむくままに「こういうテーマなら、この人の話を聞いてみたい!」という人を講師として招いている。その道の知られざる専門家もいれば、世の中的にはまったく無名の人もいる。