日本版ダボス会議を目指して10年前に始まった「G1サミット」と、鎌倉で働く人たちの交流の場として昨年オープンした「まちの社員食堂」。規模はまったく違うが、どちらも発信力のあるイベントだ。立ち上げに関わった面白法人カヤックの渡辺裕子さんは、「私のイベントづくりには共通のコンセプトがある」という——。

「日本をもっとよくしたい!」から始まったG1サミット

「G1サミット」というのは、日本版ダボス会議をつくりたいというグロービス代表である堀義人氏の想いから始まったものです。私は当時、社内で在籍していた部署がクローズになって社内失業し、ITベンチャーの経営者が集うカンファレンスの仕事をすることになりました。

プリヤ・パーカー著・関美和訳『最高の集い方 記憶に残る体験をデザインする』(プレジデント社)

そのとき、経営者同士がふだんはあまり話をする機会がないことを知り、「各分野のリーダーたちが集まって意見交換する場」をつくることができれば、きっと何か大きな価値を生むと考えたんです。

堀さんの頭の中には、すでにダボス会議のイメージがありましたから、「じゃあ、やってみよう」と始まったのが2009年です。すべて手探りのスタートでした。私たちがG1サミットによって実現したいと考えたのは、「日本をもっとよくしたい」ということです。

そのためにはどんな集合体であるべきか、どんな場所を提供すべきかを考え、検討する日々が続きました。最終的には、未来を考える場、分野を越えた交流、相互からの学び、コミュニティー強化、といったコンセプトが固まりました。第1回は107人の参加者でしたが、いまは300人を超えています。