子どもが自立できない、親離れしない

2019年3月、内閣府が「40~64歳の引きこもり人口は推定約61万人」という調査結果を発表しました。読者の皆さんの身近にも、「成人したのに、家に引きこもっている」という悩みを抱えている人が、少なからずいるかもしれません。

デール・カーネギー 著、山口 博 訳●相手の理を認める「人を動かす三原則」に始まり、議論を避けたりしながら「人を説得する十二原則」などを紹介。(創元社)

親としては引きこもっている子どもに、「何とか立ち直ってもらいたい」と願うのは、無理もないことです。しかし、結論からいうと、子ども自身に「このままではいけない」と気づかせ、自発的に行動を起こさせるしかないのです。

そのことを理解するために、一読していただきたいのが米国の作家で教育者のデール・カーネギーが著した『人を動かす』です。本書は、人間関係の改善に主眼を置いたハウツー本の古典で、日本だけでも累計500万部を突破したという、世界的な名著です。

私は、「誤解は当然、理解は偶然」と、よくいっています。人間同士がわかり合うのは、とても難しいことなのです。それは、血を分けた親子でも同じこと。とりわけ、日本人は、「子どもなら、以心伝心で自分の気持ちや考え方をわかってもらえる」と考えがちですが、それは幻想にすぎません。子どもは、別人格であり、親とは価値観が全く異なるかもしれないのです。