グループウェア大手のサイボウズは、十数年前までとてつもないブラック企業だった。成果至上主義に走った結果、離職率は28%まで上がった。サイボウズ副社長の山田理氏は「人が人に値段をつける仕組みは、どうやっても不満が出る。人を『支配』で動かせる時代は終わった」という――。

※本稿は、山田理『最軽量のマネジメント』(サイボウズ式ブックス)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/designer491
※写真はイメージです

容赦なく辞めていくミレニアル世代

人が辞めていく理由は、どこにあるのでしょうか。

大企業の役員の方と、働き方の多様性について話していると、よくこんなことを言われます。

「サイボウズさんだからできるんですよ」

そんな悠長なこと言っていて、いいのでしょうか。今やミレニアル世代はもちろん、その下のZ世代も働きはじめている時代です。彼らは「会社が合っていない」と感じたら、容赦なく辞めていきます。

インターネットで世界中のさまざまなニュースに触れられる。つまり、彼らは「主体的に居場所を選択できる環境」にあります。

彼らが会社に求めているものは、何なのでしょうか。経済競争によって生じる社会問題、凄惨な事件、紛争。それらを目の当たりにして、富を得ることイコール幸せではないことに、子どもの頃から気づいている。一方で、それなりの経済的なゆとりを確保して自分の人生を実りあるものとしたい、とも考えている。

そのために、自己実現を果たし、自分の幸せはもちろん、周りの幸せも叶えたい、そして社会的な影響力を発揮したい。

彼らが会社に求めるのは、「未来の可能性」です。

にもかかわらず、相変わらず「昭和のマネジメント」を続けている会社は、間違いなく敬遠される運命にあります。

・成長できる実感が得られない
・やりたいわけではない仕事、得意でもないことを押し付けられる
・上司はハラスメントを気にして微妙な距離感で接してくる
・非効率的な業務フローが未だに残っている
・働き方改革と言いつつ業績目標は据え置き

そんな会社で、彼らが「働き続けよう」と思うはずがないのです。