「キネマ旬報ベスト・テン」は、世界最古の映画雑誌『キネマ旬報』が1924年から続けている映画賞だ。ランクインするのはツウ向けの作品が多く、興行収入ランキング上位に入るようなヒット作は少ない。それはなぜか。『キネマ旬報物語』(愛育出版)の著者である掛尾良夫氏に聞いた——。

一世紀生き残った「世界最古の映画雑誌」

『キネマ旬報』という雑誌を知っているだろうか。「キネマ旬報ベスト・テン」というアワードでその名を聞いたことがある人もいるだろう。でも、買ったことのある人は限られているかもしれない。なぜなら、とても本格的でツウ向けの映画情報誌だから。

「キネ旬」は、今年創刊100年を迎えた世界最古の映画雑誌だ。『ぴあ』や『ロードショー』といったライバル誌が次々と休刊・廃刊するなか、「キネ旬」は一世紀、生き残った。

そこで今回、第二次世界大戦(!)、テレビの台頭、出版不況や電子化といった時代の荒波をくぐり抜け、一貫して硬派な映画情報を送り届けてきた「キネ旬」の激動史をまとめた書籍『キネマ旬報物語』(愛育出版)を上梓した、城西国際大学メディア学部招聘教授で学部長の掛尾良夫さんに、キネ旬独自の“生き残り術”を聞いた。

撮影=プレジデントオンライン編集部
城西国際大学メディア学部招聘教授・学部長の掛尾良夫さん