写真=時事通信フォト
米ジョージタウン大で講演するフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)=2019年10月17日、アメリカ・ワシントン

リブラが世界に受け入れられる条件

米国のSNS大手フェイスブックが発表した、暗号資産 「リブラ」が世界的な関心を集めている。フェイスブックはドルやユーロといった主要国の通貨や国債を裏付けとすることで、リブラの価値は安定させられるとしている。同社は、価値が安定したリブラを用いてSNSユーザーに決済などの金融サービスを提供し、新たな収益源に育てたいと考えているようだ。

しかし、フェイスブックの主張の通りに、リブラが通貨として利用が進むかは不透明だ。まず、一定の信用力がある資産を裏付けしただけで、本当に暗号資産の価値安定が実現できるといえば疑問が残る。

経済の専門家の中には、リブラの価値の安定性に関して懐疑的な見方を示す者が少なくない。また、フェイスブックという一民間企業が中心となって暗号資産の発行・管理を行うことへの懸念を指摘する専門家もいる。

フェイスブックはこうした根本的な指摘に対して、今のところ納得できる回答を示すことができていない。さらに個人の情報保護の観点からもフェイスブックには不安がある。フェイスブックの構想にもとづき、リブラが世界各国に受け入れられ、流通する展開を想定するのは難しい。