日本で新しい金融手法であったリース業を祖業として、融資、投資、生命保険、銀行、資産運用、自動車関連、不動産、環境エネルギー、コンセッション(公共施設などの運営権)事業などへと、多角的に事業領域を拡大してきたオリックス。同社の創業メンバーの一人で、2014年まで30年を超えてグループCEO(最高経営責任者)を務めたのが、ミスター・オリックスともいうべき宮内義彦氏だ。その語り口は静かだが、時に厳しく、企業社会と経営に対する洞察に満ちている。これからの企業経営を担う人材に向けて、経営に関する持論や自らの経験を縦横に語ってもらった。(第1回/全3回)

自分の立ち位置を理解するべき

——経営者を目指す人に重要なことは何だと思いますか。

【宮内】何より、自分の置かれた立ち位置を客観的にしっかりと理解しておくことです。それがないと、これから何をすべきかを考えることができないからです。

自分の立ち位置を知るためには、まず日本の社会というものをきちんと理解しなければなりません。具体的には、取り巻く環境と歴史観を理解する、ということです。

前者に関していえば、世界と日本という“横”の比較をすると、現在、日本の経済力(GDPベース)はアメリカ、中国の後塵を拝し、全世界の5%程度でしかありません。人口でいえばその割合はもっと低く、全世界の1.7%にしかすぎない。この数字を知っただけで、「このまま日本にいて、日本人だけを相手にしていて大丈夫だろうか」と思う人はたくさんいるはずでしょう。

一方、歴史軸に沿った“縦”の認識を深めるという点では、私の見るところ、今の日本社会は戦争に負けた1945年を契機に作られたものです。それまでの社会のアンチテーゼとして形成され、以後70数年が経過しましたが、大枠はほとんど変わっていません。「このままでは済まないはずだ。特に今後10年、大きな変化に見舞われるだろう」というのが私の見立てです。

オリックスの多角化の歴史
1964年に設備機器のリース事業からスタートし、リースの持つ「金融機能」と「モノを見定める専門性」を生かし、船舶・航空機・自動車リース、不動産・保険・銀行・資産運用、環境エネルギー、コンセッション事業など、隣へさらに隣へと事業領域を拡大してきた。

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