半年間でシェアが1.5倍になった理由

エコポイント効果で、薄型テレビ市場が急拡大している。2009年度の国内出荷台数は、前年度比57.3%増の1588万7000台で過去最高を記録した。

しかし、各社の明暗は分かれた。国内トップのシャープがシェアを落としたのだ。昨年9月の月間シェアは43.8%だったが、その後は、ほぼ一貫して下落。今年3月は33.4%で、半年で10ポイントもシェアを落とした。

2~3位グループは、パナソニック、ソニー、東芝が月ごとに入れ替わるほどシェアが拮抗していたが、東芝が抜け出した。昨年9月の15.3%から、3月は23.3%と大きく跳ね上がったのだ(BCN調査)。

08年度の各社のテレビ事業を比較すると、シャープ、ソニー、パナソニックが赤字に陥る中、東芝は黒字を確保している。同社の躍進の秘密は何か。

東芝は競合の少ない小型サイズに重点!
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東芝は競合の少ない小型サイズに重点!

「4月からエコポイントの基準が変わることから、3月は新基準の対象外になる製品が値下げされるなど、一種の駆け込み需要が起きました。東芝はここ数年シェアを伸ばしているのですが、そのスピードが加速しています。年末商戦も含めて、巧みなマネジメントをしていたことが勝因です」(BCNシニアアナリスト・道越一郎氏)

東芝の“巧みなマネジメント”の源流をたどっていくと「アソートメント」戦略に出合う。「詰め合わせ」「盛り合わせ」といった意味のアソートメントは、マーケティング用語として使うと「製品の品揃え」となる。

東芝の薄型テレビの“品揃え”を見ると、明らかに他社とは異なる特徴がある(図は各メーカーのサイズ別販売台数構成比)。

20型未満から10インチ刻みで50型未満まで、画面サイズ別の薄型テレビをバランスよく揃えている。中でも、20型未満では43%(2010年3月)と圧倒的なシェアだ。