60歳以上のシニア世代の「婚活」は、若年世代とは事情が異なる。ライターの篠藤ゆり氏は、「中高年に特化した結婚相談所では、必ずしも戸籍上の結婚を目標にしていない。入籍婚にこだわるとトラブルが起きやすいからだ。特に注意が必要なのが『家族の反対』だ」という――。

※本稿は、篠藤ゆり『ルポ シニア婚活』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

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シニアの結婚の形には3種類ある

ひとくちに「シニア婚活」と言っても、シニアになってからの結婚に何を望むのか、人によってかなり違う。結婚に何を望むかがお互いに違えば、当然マッチングは難しくなる。とくにシニアの場合、離別・死別を問わず初婚ではない人が多いため、子どもや相続の問題でさらに条件が限定される。

60歳以上に多い結婚の形は、大きく次の3つに分類できる。

1.同居し婚姻届を提出する法律婚。
2.同居し婚姻届を提出しない事実婚。
3.お互いの家を行ったり来たりして、週末などを一緒に過ごす別居婚。法律婚はしている場合も、していない場合もある。

3の別居婚で籍も入れていない場合、はたしてその関係を「結婚」と呼んでいいのかどうかは迷うところだ。だがシニアの場合、あえてそういった関係を選ぶケースもある。

前の配偶者と死別・離別どちらの場合も、子ども家族と同居している場合は、そこに新たに配偶者を招き入れることは難しい。そこでワンルームマンションなどを借りて、週末だけ一緒に過ごすという形を取るカップルもいるが、年齢が高くなれば賃貸住宅を借りるのも難しくなる。

子どもたちが独立して出ていっている場合でも、慣れ親しんだ家を出て相手の家に住むことに抵抗を感じる人もいる。あるいは子どもたちの側が、自分が育った家に親の新たなパートナーが入ることをよしとしないケースもある。そういう場合は、別居婚という形を取らざるをえない。