ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」では、開催前に過去最大の環境保全デモが行われた。その多くは、アマゾンの森林火災をはじめとする環境対策への世界の対応に抗議する10~20代のアメリカの若者たちだった。なぜ、彼らはこれほどまでに怒っているのか——(前編、全2回)。
撮影=Kazushi Udagawa
過去最大の環境保全デモで演説したスウェーデンのグレタ・トゥンベリさん(16)

アメリカの若者が奮起した「過去最大の環境デモ」

60カ国以上のトップたちが気候変動に関して具体策を表明する「気候行動サミット」が9月23日、ニューヨークの国連本部で開かれた。日本では小泉進次郎環境相が就任後の「外交デビュー」を果たしたことが話題になったが、世界が注目したのはなんといっても、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(16)による涙ながらの演説だった。

サミット開幕前のニューヨークでは、高校生などの若者が中心になって温暖化対策を訴える大規模なデモが行われた。グレタさんが一人で始めた抗議行動がきっかけとなったデモは、主催団体発表で約25万人が参加。世界150カ国以上で400万人を超える人々が「今すぐ温暖化対策を!」と同時に声を上げる、過去最大規模の環境デモとなった。

気候変動を食い止める活動は、いまや世界中で最も関心の高いムーブメントになっている。その大きなうねりの中心にいるのがアメリカだ。ドナルド・トランプ大統領が、人間の活動による地球温暖化を否定する姿勢をとり続けている中、政権に抗議する若者たちの声が日増しに高まっているのだ。

撮影=シェリー めぐみ
「化石燃料をやめろ」と書かれたプラカードを掲げるデモ参加者

こういった環境保護活動はこれまで幾度となく行われてきたにもかかわらず、今回のような大きな動きに発展することはなかった。彼らの怒りをひとつにする大きな引き金となったのは、折しも南米・アマゾンで発生していた未曾有みぞうの森林火災だった。