不況の影響で、再び「就職氷河期」に突入した就職戦線は、厳しさを増している。企業各社は採用人数を絞り込んだため、大学の厳しい選別が行われている。有力人事マンが採用の舞台裏を語り尽くす。

【化学】2009年は採用数だけではなく、教育研修費など人事部門の予算が削減されたせいもあり、大学への訪問数も減った。結局採用実績校回りが中心となり、採用大学数も減ったね。

【電機】うちも一緒だ。業績が厳しい中で、採用数だけではなく、人事部門をはじめとした間接部門の人員も減らされている。自ずと学校を回れる人数も少ないから、絞り込まざるをえない。それでも今までずっとつきあいのあった大学は急にやめるわけにはいかないので採る、採らないは別にして優先的に行くようにはした。

【建設】うちも訪問する大学数をかなり絞り込んだ。とくに女子大は極端に減らした。東日本地域だけで毎年100校以上回っているが、一般職採用をやめたこともあり、女子大は9割近くの学校で訪問を中止した。訪問したのは採用実績校を中心に、日頃のつきあいの深い学校だけに絞った。

【サービス】うちも実際はいろんな大学から採用しようとしているけど、蓋を開けると最終的には実績校の学生が多い(笑)。それでも一人しか採用していないが新しい大学もいくつか増やした。一流、二流という言い方は別にして、大学の採用ラインってあるよね。

【流通】余裕がなくなると実績校に偏るのは、ある意味仕方がない。結局、一番多かったのが慶應大、その次が早稲田大だね。できるだけ他の大学の優秀な学生を採りたいと思っているが、受けにくる学生自体が慶應、早稲田が多いし、人物本位で選考すると、結果的に慶應が多くなってしまう。三流とはいわないけど“日東駒専”レベルだと採用しづらいね。ただし、逆に国立の東京大、一橋大といった大学の学生はあまり来ないので、2009年は一点集中的にそういった大学を攻めてある程度採ることができた。東大、一橋大も10人程度は採れた。