株高を演出してきたトランプ大統領

世界的な株高傾向が続いている。これを強力に牽引しているのはアメリカ市場の株高だ。米中首脳会談で膠着していた貿易協議の再開が確認されたことが好感されるなどして、2019年7月にはアメリカの主要株価指数であるNYダウ(ダウ工業株30種平均)、S&P500、ナスダックが揃って史上最高値を更新した。

EPA/時事=写真
トランプ大統領(左)とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長。

19年8月に入って1日、トランプ大統領が制裁関税第4弾を9月1日に発動すると表明(実際に9月1日から発動。一部はクリスマス商戦が終わる12月15日まで猶予)。さらに5日、自国の輸出に有利になるように意図的に人民元安に誘導しているとして米財務省は中国を「為替操作国」に認定した。米中貿易摩擦の再燃、激化への懸念と景気の先行き不安から世界の株式市場は急落、NYダウも全面安で2カ月前の水準まで下落した。さらに中国の報復関税拡大を受けて、米通商代表部が中国に対する制裁関税の税率を5%引き上げて最大30%にすると発表した23日などにもNY市場は急落した。

米中貿易戦争によるリスクオフ(株式やコモディティなどリスクの高い資産から、債券や金など相対的に安全とされる資産に資金を移すこと)を繰り返しながら、NYダウは7月に記録した史上最高値(場中)の2万7398ドルから8月には2万5000ドル台まで下げ、それ以降も乱高下を繰り返している。