急成長したものの、あっという間に潰れる企業がある。ノンシリコンシャンプー「レヴール」の発売元だったジャパンゲートウェイは、その典型例だ。倒産する新興企業には5つの共通点がある。そのひとつは、「ポルシェを乗り回す」といった経営陣の生活の激変だ——。

※本稿は、帝国データバンク 情報部『倒産の前兆』(SB新書)の一部を再編集したものです。

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「1.5秒に1本売れている」で一大ブームを起こした

「1.5秒に1本売れているノンシリコンシャンプー」で、一大ブームを巻き起こした室町販売委託(旧:ジャパンゲートウェイ)。しかし一時の隆盛から一転、売上は坂道を転がり落ちるように急激にダウンしていく。同社の事例から、急成長企業が陥りがちな“5つの落とし穴”について解説しよう。

「室町販売委託」という社名を聞いて、ピンと来る方はまずいないだろう。それもそのはず、この社名は倒産時のもので、破産直前の2018年4月に変更した社名にすぎない。むしろ旧社名の「ジャパンゲートウェイ」のほうが一定の知名度があった。

ジャパンゲートウェイは、元自民党幹事長の次男が、大手アパレル出身の社長とともに創立したことでも広く知られた、化粧品・ヘアケア製品販売代行業者である。

設立以来、順調に業容を拡大させ、化粧品やヘアケア製品を主体に80アイテム以上を取り扱ってきたが、業務内容は主に次の2つだ。

1つは、化粧品メーカーとの共同開発。商品企画から広告戦略・流通ルート確保まで一貫して行なった。もう1つは既存のメーカー商品の販売代行。独占販売権を取得できる商品のみを扱い、ブランディングにまで携わった。それは値下げ戦争に巻き込まれて、結果的にブランド価値を下げる事態を避けるためだ。「本当にいいものを消費者に届けたい」——そんな思いに支えられた戦略だったという。