2020年度から実施される「大学入学共通テスト」の英語では試験内容が大きく変わる。しかし立教大学名誉教授の鳥飼玖美子氏は、「現時点ではあまりに問題点が多い。日本が誇るセンター試験に戻したほうがいい」という。イーオンの三宅社長がその理由を聞いた——。(第2回)
撮影=原 貴彦
イーオン社長の三宅義和氏(左)と立教大学名誉教授の鳥飼玖美子氏(右)

制度設計がずさんな4技能評価

【三宅 義和(イーオン社長)】大学入試改革の目玉のひとつが民間試験を活用した英語の4技能評価です。先生はこの方針について反対を表明されていますが、どのあたりに問題があるのか教えていただけますか。

【鳥飼 玖美子(立教大学名誉教授)】ひとことで言うと、制度設計がずさんです。まず、GTEC、英検、IELTS、TOEFLなど、8種類(レベル別を入れれば23種類)もの民間試験を認定したわけですが、7月に入ってTOEICは参加を辞退しました。「受験申込から、実施運営、結果提供に至る処理が当初想定していたものよりかなり複雑なものになることが判明」したため、「責任をもって各種対応を進めていくことが困難」であることから、大学入試センターとの協定は締結できないと判断したとのことです。

そもそも「4技能を1日で測定できるか」といった外的要件だけで認定しているので当初より、共通テストが民間で可能なのかは危ぶまれていました。しかも、各民間試験は、それぞれ目的や内容、難易度が違います。大学入学共通テストは、日本の大学で学ぶために共通して必要な英語の基礎力を高校での学習をふまえて判定するものなので、目的がまったく違うということになります。