回転ずしを運営するくら寿司が、「入社1年目から年収1000万円」という幹部候補生を募集し、話題を集めている。採用人数は最大10人ほどだが、すでに東大や慶應、早稲田のほか、海外の有名大学の出身者など約300人から応募があったという。そこまでする同社の狙いとは——。
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米ナスダック証券取引所前で、株式上場を祝うくら寿司関係者=2019年8月1日、アメリカ・ニューヨーク

新卒学生だけでなく、同社の社員も募集対象

回転ずしチェーン「無添くら寿司」を運営するくら寿司が、2020年春の新卒採用で、入社1年目から年収1000万円の「幹部候補生」の募集を始めている。26歳以下でTOEIC800点以上の英語力、簿記3級以上などの条件を満たす人材を最大10人ほど採用するという。募集期間は9月30日までで、飲食業界の注目を浴びる異例の試みも、初年度は残り1カ月を切った。

くら寿司の広報担当者によると、応募総数は8月22日時点で約300人。中でも海外の大学生からの応募が非常に多く、語学力のアドバンテージを生かしたい学生が集まっているようだ。日本の大学では慶應義塾、早稲田などの有名私大が目立つが、東京大学からの応募も相当数ある。男女の内訳は「どちらかというと男性が多い」(広報)。

同社の新卒採用サイトにあるエントリーフォームを見ると、氏名・住所、大学名や保有資格などの基本情報のみを入力し、いったん送信する必要がある。これ以降の選考フローについては、それぞれの応募者に個別に案内しているという。今回の採用は、新卒学生だけでなく、同社の社員も募集対象とあって、社内外を含め競争率は高そうだ。

8月1日には、アメリカの子会社「くら寿司USA」の米ナスダック証券取引所への上場を果たしている。同社担当者は「海外での事業戦略を策定し、実践していくための人材が不足しており、中途採用だけでなく新卒の中にもそうした人材がいるのではと思い実施した」と説明している。