『正法眼蔵』道元著 岩波文庫

学生時代に親鸞に関する著書をきっかけに出合った。以来、道元の思想に共感するようになっている。

87巻からなる本書のなかでも、第一巻「現成公案」が好きで、10冊以上の解説本を読み比べてきた。特に現成公案は、人によって解釈が異なるのが面白い。私自身は素人の我流解釈ながら、「しかもかくの如くなりといえども 華は愛惜に散り 草は棄嫌に生ふるのみなり」という一文に、道元の「究極の主旨」があると考えている。

大切なのは、ありのままの生を生ききることだ。だからといって努力しなくていいわけではない。所与のものを全うし、しかも、そのことすら意識せずに淡々と居るのがいい。なかなかそうはいかず、困るのだが。