受け継がれるエリート教育の神髄

ただ机にかじりついて暗記をするのが、よい勉強法ではない。フランスの学生時代の経験から、そう考えます。

ミシュラングループのシニアアドバイザー ベルナール・デルマス氏

私は、フランス東部・ナンシー市にある高等鉱山学校でエンジニアとしての学問を学んだあと、パリへ拠点を移し、社会科学系のトップ校であるHEC経営大学院でMBAを取得しました。

ナンシーとパリでの経験や学び方は、私のキャリアに大きな影響をもたらしています。両校とも、フランスの高等教育機関であるグランゼコールに数えられる学校です。

グランゼコールの歴史は古く、ナポレオンの時代に、軍のエリート養成校として設立されたのが始まりです。実務や経営に必要な、あらゆる知識を身に付けられる場所です。

私が学んだナンシーの学校では、講義とは別にエンジニアとして企業で働く機会がありました。部屋に閉じこもって勉強に励むよりも、外に出て、実体験することは、大変価値のある勉強になります。

1年目は、炭鉱の現場で3カ月間働きました。「将来幹部になるための見学」などという生やさしいレベルではなく、現場作業員として、ときにダイナマイトの爆破も担当しました。

チームは、移民のポーランド人、イタリア人、あと2名のフランス人とエンジニアの私、合計5人。