ライブ配信サービスを運営する「SHOWROOM」の経営が行き詰まっている。社長の前田裕二氏はベストセラーとなった『メモの魔力』などの著者であり、有名女優との交際が報じられるなど、表面上は華やかにみえるが、4期連続赤字で債務超過に陥っている。公認会計士の川口宏之氏は、「株価は10分の1に下がっているようだ」という――。
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ライブ配信番組「猫舌SHOWROOM」の発表会に出席した(左から)指原莉乃さん、前田裕二SHOWROOM社長、乃木坂46の新内眞衣さん、与田祐希さん、衛藤美彩さん=2018年6月4日、東京都港区

DeNAから分社化したベンチャーの実情

ライブ配信サービスを運営する「SHOWROOM(ショールーム)」は、DeNAの一事業部が分社化して設立した、ベンチャー企業である。

スマートフォン向けのアプリでアイドルやタレントのライブを配信する。配信者は視聴者から「ギフティング(投げ銭)」を受け取って収益を得ることができる。いわば路上ライブで道行く人から投げ銭を得る仕組みを、ウェブ上で構築したものだ。

配信者側も視聴者側も利用は無料。SHOWROOMは投げ銭の一部を手数料として得ることで収益源(売り上げ)としている。

非上場企業の決算書を入手する3つの方法

SHOWROOMは非上場企業である。上場企業であれば、四半期ごとに決算発表を行い、詳細な決算数値が公表されているが、非上場の会社はそのような情報はない。だからといって、まったく情報がないわけではない。

株式会社は、定時株主総会の終結後遅滞なく決算公告をすることが、会社法第440条で義務付けられている。決算公告とは、いわば簡易的な決算書だ。この決算公告の掲載義務は、設立まもない会社でも、家族だけで経営している零細企業でも、株式会社という組織形態をとっている以上は、従わなければならないルールである。

SHOWROOMも株式会社であるため、設立1期目から決算公告を毎年掲載している。

ちなみに、決算公告を掲載する場所は、「官報」「日刊新聞」「電子公告」の3種類がある。この3つのうち、どこに掲載するかは会社が任意に選ぶことができるが、大多数の会社は「官報」を選んでいる。

経済合理性を考えれば「電子公告」が選ばれるはずだ。「官報」「日刊新聞」は有料の掲載料を支払う必要があるが、「電子公告」であれば自社のホームページに掲載することで、実質無料で決算公告の義務を果たせるからだ。