妊娠・出産経験のない20~30代女性の「朝食欠食率」を調べたところ、4大卒ではなく、仕事を持たず、世帯収入が低い女性ほど、朝食をとらない傾向が強いことがわかった。調査にあたった日本総合研究所の小島明子氏は「健康のためにも朝食をとってほしい」と訴える――。
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20、30代女性は食塩と脂肪の摂取過剰で、朝食を抜くことも多い

近年、生産年齢人口である15~64歳の女性の就業率は上昇傾向にあり、さまざまな分野で活躍する女性が増えてきました。しかし、気になることが一点。20~30代の女性の中には日々の仕事や家事、育児に追われ、自身の健康に配慮する余裕のない人が少なくないのです。

女性が若いうちから健康を意識することは、仕事と生活の両立のみならず、妊娠や出産のための身体づくり、あるいは健康で生き生きとした生活を送ることにもつながります。

本稿では、日本総合研究所「妊娠・出産に当たっての適切な栄養・食生活に関する調査(※)」(以下、「栄養・食生活に関する調査」)と、同調査と同時に製作した「働く女性のためのヘルスケアブック」を元に、妊娠経験のない若い女性の食生活の課題について述べます。

※厚生労働省平成30年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業

20代、30代女性の半数は「1日3食」だが……

「栄養・食生活に関する調査」によると、妊娠経験のない20代、30代の女性の食生活の理想と現実には大きな乖離があることがわかっています。

妊娠経験のない20代、30代の女性の多くが「現在の食生活を向上させたい」と考えながらも、実践できている女性の割合は3割未満であるのが現状なのです。つまり、実践できていない女性が7割~8割に上るのです。

具体的に食生活のどのような点に問題があるのでしょうか。「栄養・食生活に関する調査」によると20代から30代前半の女性を中心に、下記の食行動の実践度が低いことがわかっています(図表1参照)。

・「不足しがちなビタミン・ミネラルを含む『前菜』たっぷりとること」
・「牛乳・乳製品などの多様な食品を組み合わせ、カルシウムを十分にとること」
・「食塩は控えめにすること」
・「脂肪は質と量を考えて摂ること」

「1日3食をしっかり摂る」ことを実践できている女性は約半数に達しますが、野菜やカルシウムの摂取が圧倒的に不足し、逆に食塩と脂肪の摂取が過剰になっている傾向が顕著なのです。