「人に知られるのは恥ずかしい」と、手軽にできる個人輸入が増えているED治療薬だが、大きな危険も潜む。

効果と持続性が36時間も続く

加齢にともない性的な好奇心は強くても体がついていかず、セックスへの自信と意欲が失われてゆくもの。そんなとき、手っ取り早く「秘薬」を求めるのは男のサガでもある。「オトコを取り戻す」いちばんの「秘薬」、それはED治療薬だろう。

そもそも性欲はテストステロンが脳に働くことで感じるもの。川崎医科大学泌尿器科学教室の永井敦教授は「50歳を超えるとテストステロンの低下のためにいろいろな障害が現れます。『加齢男性性腺機能低下症候群』といわれるもので、性欲、勃起・射精障害も顕著となります。ある調査では、20歳のときの性欲の強さを100%とすると、60代では約50%、70代で約30%になるとのデータが出ています」と話す。

同泌尿器科学教室の調査によると、ED治療薬の服用によりセックスが可能になって、「自分に自信が持てる、幸福度が増す、健康実感度が高くなる」という意見が多かったという。実際、外来でたくさんの患者を診ている永井教授はこう話す。

「当科で以前に取ったデータでは、ED治療薬を処方した患者さんの実に39%は65歳以上の男性でした。年をとっても勃起を維持したいという高齢男性が多いことがわかります。EDが克服されると欲求不満やストレスの解消ができ、性のQOLの向上ばかりか、日常生活におけるパートナーとの関係性も向上します」

日本でED治療薬として認可されているのは、強い硬度が得られるといわれる「バイアグラ」(シルデナフィル)、飲んで20分後に効果が表れ始める即効性が売りの「レビトラ」(バルデナフィル)、飲んで36時間もの効果と持続性を誇る「シアリス」(タダリス)の3種類と、バイアグラのジェネリック薬だ。

飲んで15分で効き始め、食事の影響を受けにくい

第4のED治療薬といわれているのが欧米で販売されている「ステンドラ」だ。従来のED治療薬との違いを渋谷三丁目クリニックの古市昌之院長が説明する。

「特徴はバイアグラよりも即効性があり、飲んで15分で効き始め、食事やアルコールの影響を受けにくいということ。ステンドラは日本で未承認の薬ですが、当院では医療機関として特別な輸入許可を得てステンドラと、そのジェネリック薬を処方しています。レビトラやシアリスの特許期限が切れ、ジェネリックが発売されれば価格は下がり、患者さんの選択の幅も広がるでしょう」