一流のサッカー選手は、競技以外でも卓越した能力を発揮していることが多い。なぜなのだろうか。ジュニアサッカー保護者向けメディア「サカイク」編集部は、「サッカーには、生きるために必要な“ライフスキル”を育む効果がある」と指摘する――。

※本稿は、サカイク『自分で考えて決められる賢い子供 究極の育て方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ArtmannWitte)

10個の「ライフスキル」

WHO(世界保健機関)が各国の学校の教育課程への導入を提案している、ライフスキルという考え方をご存知でしょうか。ライフスキルは、「人生で起こるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」と定義されています。もともとは1980年代にアメリカのカレッジスポーツの現場で考案された概念で、以下の10項目のスキルで構成されています。

・意思決定スキル
・問題解決スキル
・創造的思考スキル
・批判的思考(クリティカルシンキング)スキル
・効果的コミュニケーションスキル
・対人関係スキル
・自己認識スキル
・共感性スキル
・情動への対処スキル
・ストレス・コントロールスキル

これら10項目を技術として身につけることで、これからますます複雑化していく人生をよりよく、そして力強く生き抜いていこうというのがライフスキルの趣旨です。

物事の本質を見極める「生きるための術」

自ら意思決定を行い、問題解決に取り組み、創造的に考え多面的な思考力を持つ。他者とのコミュニケーション力に長け、自分の長所や短所をきちんと把握したうえで周囲の意見や感情を受け止めることができる。喜怒哀楽といった感情に適切に対処でき、ストレスや緊張にさらされたときにも、心身に過度な影響が出ないようにこれに対処できる……。

知能やIQ、学力や偏差値といった指標だけではなく、物事の本質を見極めて、予想しなかったことが起きたときにも自ら考えて問題に対処できることを目指したライフスキルは、まさに「生きるための術」と呼べるものでしょう。