離婚後の「共同親権」を日本にも導入すべきかどうか。ネット上で白熱した議論が続いているが、着地点が見えないのは、論者たちが見落としている大事なことがあるからだと橋下徹氏は指摘する。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(6月25日配信)から抜粋記事をお届けします。

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離婚後、子供に会わせてもらえない父親たちを救うには

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/itakayuki)

現在は、離婚すると、父または母のいずれか一方が子供の親権を持つ。これを単独親権と言う。離婚してしまうと、お父さんとお母さんで親権を共同行使することができなくなってしまうのが今の日本の法制度だ。

これに対して、離婚後も両親が、共同で親権を行使するような制度に改めるべきだという主張が出てきた。これが共同親権。

単独親権のままで行くべきか、それとも共同親権に変えるべきか、この議論が一部ネットの中では白熱している。

単独親権派は、憲法学者の木村草太氏や、子育て支援等に力を入れている社会起業家の駒崎弘樹氏など。その理由の中心は、両親にDV(ドメスティックバイオレンス=家庭内暴力)問題があり、例えば、夫の暴力に苦しめられた妻が離婚後子供と暮らしているケースにおいて、共同親権になってしまうと暴力元夫と元妻が引き続き連絡を取らざるを得なくなってしまうので、それはダメだというもの。

対する共同親権派は、衆議院議員の長島昭久氏。僕自身、彼の主張を明確に聞いたことはないが、共同親権派が主張する柱は、離婚後、子供と暮らしていない親(多くは父親)が、子供に面会しようとしても断られることが多いので、それを防ぐためというもの。

この共同親権派の主張に対して、単独親権派は、共同親権となっても、子供と暮らしている親側が面会を拒むと、強制する方法がないので、共同親権にすることは無意味だという。確かに共同親権となったところで、現在の法制度では面会を強制執行することはできない。