本音では「衆参同日選」を避けたい野党のだらしなさ

国会は6月26日の会期末に向け、衆院が解散して衆参同日選になるのかどうかに注目が集中している。そんな中、野党は解散に備え、選挙協力の協議を進めているが、内閣不信任決議案の提出を巡り足並みが乱れている。

会期末に不信任決議案を提出して政府・与党と戦う姿勢を見せるのが野党の本来の姿。しかし、今回は、不信任決議案を提出することで衆院解散、総選挙を誘発することになりかねない。本音では同日選を避けたい野党は、どうしても歯切れが悪くなってしまうのだ。

写真撮影に応じる国民民主党の非公認ゆるキャラ「こくみんうさぎ」(右)と玉木雄一郎代表=2019年5月30日、国会内(写真=時事通信フォト)

不信任は会期末に野党から出るのが普通

内閣不信任決議案は、国会の会期末に、野党が衆院に提出することが多い。「国会審議を通じて今の内閣は信任に値しない」などと言って提出する。可決すれば憲法69条に従い、首相は内閣総辞職か、衆院解散を選ぶ。

1980年の「ハプニング解散」、93年の「政治改革解散」の時のように、与党・自民党内に大量の造反者が出て可決したこともある。しかしこれはレアケースだ。与党が多数を占める衆院で不信任決議が可決することは、まずない。特に2012年に第2次安倍内閣が発足してからは、政権基盤が安定しているので、野党が不信任決議案を提出しても粛々と否決されることが続いている。

「不信任」政局をつくった菅氏はしたたか

この「予定調和」を崩したのが菅義偉官房長官だった。菅氏は5月17日の記者会見で「通常国会の終わりに野党から内閣不信任決議案が提出されるのが慣例になっている。時の政権が国民に信を問うため衆院解散・総選挙を行うのは(決議案提出が)大義になるか」との質問に答える形で「それは当然なるんじゃないですか」と答えた。つまり、野党が不信任決議案を出してきたら衆院解散に踏み切る可能性があることを打ち上げたのだ。

この経緯については5月20日付の「GDPプラスも『増税凍結解散』は止まらない」で紹介したように、衆院解散の大義づくりに困る安倍政権側が「不信任」に大義を見いだそうとしたというのが真相だ。自民党幹部は「不信任決議案は、野党が衆院解散を迫って出すもの。与野党で合意して解散するのだから、理屈は十分立つ」と説明する。