別居後に夫婦関係を修復できた夫婦と、そのまま離婚してしまう夫婦は、どこが違うのか。夫婦問題研究家の岡野あつこ氏は「これまで見てきた事例では、別居が半年以内の夫婦の場合、半数は『関係の修復』を選んでいる」という。実際のエピソードとともに解説しよう――。
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離婚まで「半年」かけた2人の未来は明るい

コミュニケーション不足が慢性的になると、多くの場合、夫婦はやがて危機的状況を迎えることになる。ただし、だからといってすぐに離婚を選択する夫婦は少ない。たとえパートナーから「別れてほしい」と切り出された場合でも、「はい、わかりました」と応える人はごく少数派だろう。

言うまでもなく離婚は、誰にとっても人生の大きな節目になる出来事。だからこそ、即決は禁物。たとえ夫婦どちらかの意志が固く、関係修復の可能性が限りなくゼロに近い場合でも、離婚という結論を出すまでにはある程度、時間の猶予を持たせることが望ましい。のちに「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、落ち着いて考えるために時間をつくる必要があるのだ。

経験上、離婚までに夫婦が互いに努力するための時間の目安は「半年」。半年間というリミットのなかで、お互いが今より幸せになれる方法についてベストを尽くして模索すること。それにより、その後「離婚」か「修復」のどちらかを選択することになっても後悔せず、前向きに生きていくケースが多い。

別居が半年以内なら「元サヤ」の可能性あり

「夫婦でとことん話し合う」「夫婦でカウンセリングに通う」など半年間にすべき夫婦の行動はいろいろあるが、最もインパクトの大きい行動としては「別居」もある。別居とは、文字通り夫婦が別の家で生活をすることだ。

実は、この別居の期間についても「半年」は重要なキーワードになる。具体的には、別居の期間が半年間ならその夫婦は修復の可能性があるが、半年間より長くなるにつれ修復の可能性は低くなっていく傾向がある。これまでの経験では、半年以内の期間で別居を経験した危機的状況下にある夫婦の50%は、その後修復を選択している。つまり、離婚の危機がすぐそこに迫っている夫婦が別居した場合であっても、別居期間を半年以内にすれば「元サヤ」に戻れる可能性がある、ということになる。

実際にあったケースを参考に考えてみたい。