10代の女子は自撮り写真を投稿する際、当たり前のように写真を加工する。ただし、そこには「言い訳」を添えることも忘れない。どういう心情なのか。ITジャーナリストの高橋暁子氏は「自撮りは加工してアップするが、自意識過剰とは思われたくないという複雑な思いがあるようだ」と解説する――。

インスタには「加工方法」の動画がある

10代女子にとってセルフィー(自撮り写真)は日常だ。数人集まると撮り、イベントがあれば撮り、SNSにアップする。Instagram(インスタグラム)などを見ると彼女たちが写った写真が多数投稿されているが、そのほとんどが加工されている。

女子大生を対象とした「カメラ&加工アプリに関する調査」〔2018年7月/「College now(カレッジナウ)」〕によると、写真を撮るためのデバイスは「スマートフォン」が86.3%だが、画質にこだわって「デジタルカメラ(一眼、ミラーレスを含む)」を利用する子も、23.2%と少なくない。GoProをわざわざ購入して利用しているこだわりの子もいるようだ。

加工アプリの個数は、デフォルトカメラのみは21.9%にとどまり、1~2個が35.5%、3~4個が30.4%、5個以上が12.2%だった。加工アプリにこだわる子が多いのも特徴だ。

画像加工といっても、自分の顔をかわいく見せるための加工がメインだ。その後で文字を書き込んだり、デコレーションをしたり、切り貼りのように見せたりする加工も人気がある。加工の仕方は、「#画像加工」「#加工アプリ」「#加工方法」「#手書き加工」「#インスタ加工」などとインスタで検索すれば、やり方を詳細に紹介する動画が見つかるので、まねすることも簡単だ。

「#画像加工」「#加工の仕方」で検索すると、加工方法を紹介している投稿が出てくる(画像=高橋暁子)

10代女子は、どのように自分の写真を加工しているのだろうか。SNSに見る画像加工の今を見ていきたい。

あえてプリクラで撮影、アプリで加工

10代女子の可処分所得は少ない。その中でもプリクラ代は絶対に捻出するものの一つ。学園祭や体育祭などのイベント時、記念日、友達と遊んだ日などに撮影する。撮影は有料だが、「みんなで撮って、割り勘したら安い」という。「JKブランドは貴重。制服が着られるうちにたくさん撮らないと」と話す女子高生もいた。

プリクラを撮る際には、人気のポーズがいくつかある。両手でハートを作る「両手でハート」、人さし指と親指をずらして作る「指ハート」、うさぎの耳のように頭の上でピースをする「うさぎ耳ピース」、両頰に人さし指をあてる「ほっぺつん」などは、かわいさをアップする効果がある。顔の上下をピースで挟む「縦ピース」や、頰に手を当てる「虫歯ポーズ」は小顔効果があると言われている。それぞれ意味と効果があるし、友達とおそろいでやると仲良しアピールもできる。