3期連続の最終赤字から、一転して大復活

ブックオフグループホールディングスの業績が回復している。経営陣の思い切った改革が奏功した。特に評価できるのは、店舗戦略の大転換だ。

ブックオフは2016年3月期に上場以来初の営業赤字に転落。その後も3期連続の最終赤字に陥っていた。だが2019年3月期は最終黒字に転換する見込みだ。既存店売上高(リユース店舗事業直営店)も昨年2月まで13カ月連続で前年割れが続いていたが、昨年3月以降は一転して12カ月連続で前年を上回っている。

2014年4月、資本・業務提携の発表記者会見で握手するヤフーの宮坂学社長(右)と、ブックオフコーポレーションの松下展千社長(いずれも当時)。両社は2018年11月に資本提携を解消。渋谷に出したコラボ店も18年7月に閉じた。(写真=時事通信フォト)

業績予想をみると、売上高は805億円で前年比100.6%とあまり増えていない。一方、営業利益は11億円で前年比179.2%増の予想となっている。構造改革で販売管理費の削減が進んだ結果、営業利益が増え、業績が回復しつつある。

これを好感して、年初来、同社の株価は12%程度上昇してきた。この期間に限ってみると、ブックオフの株価上昇率は、わが国主要企業の平均的な株価変化率を上回っている。市場には「ブックオフの復活」との声もある。

同社の改革は緒に就いたばかりだ。現経営陣が注力する総合リユース店舗事業は、収益を生み出し始めた。経営陣がこうした大型店舗の魅力をどのようにして高め、さらなる成長を目指すか、その発想は他の企業にも参考になる部分が多いだろう。

既存の古書店からリユース需要を取り込んだ

ブックオフは、わが国の「リユース・ビジネス」の革命児だった。古本の買取と販売を駅前立地で行うことで「新古本」という市場をつくった。加えてブックオフでは立ち読みも排除されなかった。このビジネスモデルが消費者に支持され、ブックオフは既存の古書店から、リユース需要を取り込むことに成功した。

2000年代の初め、ある古書店の経営者と話をしたとき「ブックオフの登場は、われわれ古本屋にとっては死活問題だ」とかなりの危機感を持っていたことが印象に残っている。彼にとって、ブックオフはまさに脅威だった。

しかし、リーマンショック後のブックオフには、以前のような勢いがなくなってしまったように思う。最大の原因は、同社がITプラットフォーマーの登場という変化に適応できなかったことだ。