新天皇の即位と改元に伴う10連休がいよいよスタートする。娯楽やレジャー産業にとっては絶好の追い風だ。第一生命経済研究所の永濱利廣首席研究員は「連休中の旅行消費額は過去最高になりそうだ。一方、連休明け後に発表されるGDP成長率がマイナスなら、お祝いムードが一気に景気後退モードへ切り替わる可能性もある」と指摘する――。

いよいよGWが目前に迫ってきた。今年のGWは10連休となる企業も多いだろう。今年は、新天皇が即位する5月1日と即位礼正殿の儀が行われる10月22日が休日になる。これらの休日は国民の祝日扱いになり、4月30日と5月2日も休日となるためだ。

経済への影響はどうか。一般的に、連休が増加すれば、娯楽、レジャー、外食等へ費やす時間が増え、これらの関連支出が増加することが予想される。ただし、製造現場で工場の稼働日数が減れば、生産量が抑制されるため日本経済にとっては押し下げ要因となる。

そこで以下では、今年のGWが10連休になることが日本経済に及ぼす影響、すなわち改元がもたらす日本経済への影響を検討してみたい。

GWの旅行総消費額は過去最高になる可能性

まずは、旅行動向に対して及ぼす影響を検証してみよう。ここでは、JTB総合研究所が昨年4月4日に公表した「2019年ゴールデンウィークの旅行動向」を参考にした。下記資料はJTB総合研究所が推計した旅行総消費額の推移である。これによれば、今年のGWの旅行総消費額が前年比+3.7%の1兆0610億円と予想されていることがわかる(図表1)。

前年の総消費額が1兆0232億円程度であることからすれば、10日間の旅行消費額だけで前年から約378億円増加することになり、旅行人数が約2467万人であることからすれば、1人当たり3万6800円程度の平均消費額となる。

なお、こうした10連休により、車による帰省ラッシュや国内旅行が増加すれば、車の給油の増加や、洗車や車両メンテナンスの需要等も伸びることも合わせると、GWの旅行総消費額は過去最高になる可能性が高い。

ちなみに、2019年通年の旅行総消費額は、「ラグビーワールドカップ 2019 日本大会」が開催されることもプラスに働き、前年比+2.8%の15兆3000億円と予想されている。前年からの増加額は約4156億円であることからすれば、約0.1%のGDP押し上げ効果がある。

日本人の旅行消費額~10連休とラグビーW杯~