お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦さんは、テレビ以外の活動に力を入れている。その理由は「やりたいことだけしていきたいから」。オンラインサロンの運営やアパレルブランドの立ち上げなど、活動の幅は芸人の枠にとどまらないが、本当にテレビ番組なしでやっていけるのか。『労働2.0』(PHP研究所)を発売した中田さんに聞いた――。
お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦さん(撮影=尾藤能暢)

「東大ほどコスパの悪い大学はない」

――子どもの頃、「働く」ことにどんなイメージを持っていましたか。

有名大学を出て大手損保会社で働いていたオヤジは、俺にも同じような安定したキャリアを望んでいました。なので、「働くってそんなもんかなあ」と思ってましたね。

比較的勉強も得意だったので教育熱心な父の要望には応えられていましたが、オヤジが勧めるような大企業のサラリーマンとか弁護士、医者、官僚といった職業をいろいろ調べてみたとき、「楽しくなさそうではないけど、ほんとに俺がやりたいことか?」という疑問は拭えなかった。

そんな感じで将来について悩んでいた中で大学受験があって。はじめは「東大入ってやんよ!」とイキってたんですけど、よくよく考えると“東大卒”ってちょっとヘマしただけで「あの人、東大なのにねえ」とか、ちょっとでも変な言動をしたら「あの人は東大だから」とか、なにかと言われがち。努力の割に報われないことが多いことから、「東大ほどコスパの悪い大学はない」という結論に至り、結局、慶應一本でいきました。

ちなみに慶應を選んだのもコスパです。並び称されることの多い早稲田と比べても華やかでアカ抜けた印象があったので、だったらそういうイメージごと利用しようと思って。

人の作ったコンテンツに没頭し続けられない

――高校時代から客観的にキャリアを考えているように見えますが、そういった第三者的な目線はいつ培われたものですか。

周りの人を見ているとスマホゲームしたり、映画に夢中になったり、オリンピックが始まるとめちゃくちゃ応援したりするじゃないですか。でも自分は人の作ったコンテンツに没頭し続けられなかったんです。要は、趣味がないんですよ。

一方で、僕は人生そのものをオープンフィールドのロールプレーイングゲームで、自分はそのゲームの主人公だと思っているんです。それが客観的視点につながっているのかもしれません。