2008年から生活習慣病予防を目的とした「特定健康診査(特定健診)」が始まった。生活習慣病の前段階となるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人や、その予備軍を選び出し、生活習慣改善の支援(特定保健指導)を行うためだ。

判断のベースとなる数値は、男性では腹囲(へそまわり)85センチ以上もしくはBMI(体格指数)が25以上。腹囲については「修正すべき」などとかまびすしいが、それはそれとして、生活習慣病予防に歩み始めたのだから、特定保健指導を受けた受けないにかかわらず、検査数値の意味するところは十分理解できるようにしておくべきである。

その強い味方になるのが『最新版病院の検査数値早わかりハンドブック』(小橋隆一郎著、主婦の友社)。同書は「健康診断とドックの基本的検査」「がんを発見・診断する専門的な検査」「病気を診断する専門的な検査」を三本柱として、ほとんどの検査がコンパクトかつ平易にまとめられている。

書名に最新版とあるように、巻頭には「メタボ健診とメタボ解消のポイントがわかる大特集」がある。

簡単にその意味が理解できるので、メタボの全体像を大まかにはつかむことができるだろう。

だが、メタボと実際に診断がついた場合は、もう二歩も三歩も踏み込んで対応する必要がある。

そのときのバイブルとなるのが、『メタボリックシンドローム教室 Q&Aでわかる療養指導』(宮崎滋編著、中外医学社)。

編著者の宮崎氏はメタボリックシンドローム撲滅委員会実行委員会のリーダーで東京逓信病院の内科部長。2007年5月から全国の病院に先駆けて「メタボリックシンドローム教室」をスタートさせた。同年10月、第28回日本肥満学会で教育入院を発表するや、「システムや取り組みを広く普及させるために公表してほしい」という声がわきあがり、この本の誕生へとつながった。

もともとは、医師、看護師、栄養士、薬剤師、事務職の方々のために書かれたものだが、Q&A形式で患者にもわかりやすい。

メタボは生活習慣病の川上に位置するので、ここで食い止めないと病気のデパートに――。第3章は「よくある質問」がまとめられており、患者自身が多く疑問に思うことが21あげられ、詳しく答えてある。知識が豊富になればなるほど、メタボ脱出はより確実性が増してくる。

メタボで前向きに努力し始めた人たちを横目に、「なぜもっと早くメタボ検診を始めてくれなかったの! ?早く始めてくれていれば病気にならずにすんだのに――」。そんな声とため息をもらしている人も多い。

病気を他人のせいにしたところで治るものでもない。生活習慣病は医師と二人三脚で、しっかり歩む必要がある。もちろん、生活習慣病の中には、生死をわける「がん」も入っている。同じ共に歩むなら、やはり名医といわれる信頼できる医師がいい。だが、どのように探せばいいのか……。

そんなとき参考になるのが、拙著で恐縮だが『この病気にこの名医』(PART1~3・主婦と生活社)だ。

各病気をわかりやすく解説し、全国の名医をリストアップした。手術数から判断、患者が推す、看護師が推すなど、さまざまな名医本はあるが、この本は、その病気の分野では誰もが「名医」と推すような医師が、「自分がかかるなら」という立場でリストアップしたものである。

いざというときのために、本棚に確保しておいて損はないはずだ。