「レオパレス難民」が生まれた背景とは

ただでさえ春は引っ越しのシーズンであるうえ、レオパレス21の施工不良問題で2019年3月末までに退去を迫られる人が続出し、需給が異常にひっ迫している。業者を手配できても高額の引っ越し費用を提示されるのが実情で、「レオパレス難民」という言葉まで生まれている。

アパートの施工不良について謝罪するレオパレス21の深山英世社長(左)ら(2019年2月7日)。(時事通信フォト=写真)

レオパレス21とは、地主に所有地の有効活用策として、社名と同じブランドのアパート建築を提案する大手である。

だが、18年5月に同社が手掛けた1000棟のアパートで、法律で義務付けられている屋根裏の界壁(部屋ごとの仕切り)を設けていないことが明るみに出た。

建築基準法違反の可能性が高い

しかも、19年2月には1324棟でコスト削減のための手抜きとも目される新たな施工不良が発覚。防災上の問題などから641棟で速やかな改修工事が必要となり、約7800人の入居者が転居を求められた。不動産ジャーナリストの榊淳司氏は指摘する。

「繁忙期の3月中に退出を完了させるのはまず無理だし、転居費の負担もさることながら、改修には想像以上に多額の費用がかかってしまう」

刑事罰もある建築基準法違反の可能性が高く、「逮捕者まで出れば同社と契約する地主は激減し、入居者に敬遠されるのも必至で、いっそう経営難に陥る恐れも」(榊氏)。同社に万一のことがあれば、不動産市場全体にも冷や水となりかねない。

(写真=時事通信フォト)
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