仕事にやる気が起きない。どこから手をつければいいのか。2人の脳科学者にアドバイスを求めた。第4回は「数行のメールの内容でも悩むうえ、責任が伴う判断ができません」――。
▼50代部長
Q 数行のメールの内容でも悩むうえ、責任が伴う判断ができません。
A 普段は絶対に選ばない派手な下着を買って身に着けてみましょう。

あなたの判断基準は何か?

私はビジネスパーソンや経営者の脳のMRI画像診断も行っています。管理職になった方の多くが判断に悩み、「自分はコミュニケーション障害なのではないか」と相談にお越しになります。しかし、そうした方のほとんどはお話も上手で、コミュニケーション能力が低いわけでもありません。立場が変わり、自身のウィークポイントに気づいて尻込みをしているだけなのです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/imtmphoto)

平社員のときには自分の気持ちを伝えればあとは上司がやってくれるので、意外と人のことを考えなくてもよかった。それが管理職になると、周囲の考えを聞き、意見をまとめたうえで判断を下す機会が増えます。判断をミスして敵をつくってしまったり、会社に甚大な被害を与えてしまったりすることもある。だから数行のメールを打つのにも悩み、「自分は皆の意見をまとめられない人間だった」「誰を説得すればいいか、こうすればうまくいくといった解決策を想像できない」と、うろたえてしまうのです。

原因は、その方自身が「自分の意見がわからない」ことにあります。エリート会社員ほど、なにかを判断する際に自分の考えで決めません。「理屈はこう」「会社としてはこれ」を優先して自分の本心を考えずにきたために、責任を伴う立場に立ったとき、なにがベストかの判断がつかなくなるのです。

自分の気持ちがわからず判断ができない人は、左脳の感情系を司る部分が発達していません。解決策として、「自分の趣味や好きなことをあらためて知る」努力をするといいでしょう。ちょっと奇抜なトレーニングですが、「普段は絶対に選ばない下着を身に着ける」ことを提案します。