政府は人手不足を解消するため、外国人労働者を増やそうとしている。しかしそれは効果のある施策なのか。実業家の堀江貴文氏は「『人がやらなくてもいい仕事』を人がやっている。外国人の労働者をアテにするより、各業界でロボット化を急いだほうがいい」と指摘する――。

※本稿は、堀江貴文『僕たちはもう働かなくていい』(小学館新書)の一部を再編集したものです。

実業家の堀江貴文氏(撮影=小学館写真室)

iPhone Xが証明する画像認識能力の高さ

AIやロボットは着実に、私たちの仕事や生活に採り入れられている。今後、何が起きるのかについて、身近なAIやロボット技術の一端を紹介しながら考えていきたい。

まずは何と言ってもスマホだ。

AIを搭載したアプリがどんどんリリースされているが、スマホ本体で言えば、顔認証システムが、AIによる画像認識の技術によって、画期的に進化した。スマホは個人情報の宝庫であり、認証システムの強化がますます重要になっている。

その進化を最初に感じたのは、2017年にリリースされたiPhone Xだ。新たな搭載機能として、顔認証システムの採用が大きな話題となった。それまでの指紋認証・ホームボタン方式からの大胆な仕様変更だ。私も使ってみたが、認識の精度の高さは、なかなかのものだった。

iPhone7くらいまでの機種では、私の指紋が薄いのか、ときどき認証してくれず、ややイライラしていた。わずかな時間ではあるが、認証の頻度が半端ないだけに、積み重ねれば大きな時間のロスとなっていただろう。

だがX以降は、認証ミスのストレスはほとんどない。AIを駆使した画像認識能力の高さの証明だ。Xの直後に発売されたXSシリーズは、快適性がさらに向上していた。ネット接続同様、この分野では秒単位でのサクサク感の向上が、勝負の分かれ目となるような世界だ。

画像認識技術で無人店舗が広まる

スマホのAI化はどんどん進んでいく。

開いた瞬間に、使い手が何をしたいかを先回りして提示したり、逆に使わない機能やアプリなどを自動的にセーブして省電力化したりするなど、ますます使い勝手が良くなっていくのは間違いない。スマホにも、「手」や「足」という身体性を持たせようという研究だって、どこかで進んでいるはずだ。

現在、最も進化しているAIの「目」、つまり画像認識の技術は、無人店舗の登場を劇的に進めていく可能性を秘めている。

無人コンビニをはじめとする無人店舗は、買い手の買い物スピードの向上や、売り手の人件費の削減という点から、いずれは世界中でどんどん広がっていくだろう。

しかし、いま中国などで急速に広まっている無人コンビニの多くは、最後に客が商品をひとつひとつレジシステムにかざし、瞬時に読み取られた商品情報から決済金額が提示される仕組みだ。