1000円値上げして7400円でも集客は過去最高

東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドの株価が最高値圏で推移している。過去5年間、同社の株価上昇率は、東証第1部上場銘柄の平均的な株価上昇率を大きく上回っている。その背景に何があるか。

重要な要素は同社の集客力の高さだ。先日、電車でTDRのある舞浜を通りかかった。その途端、車窓いっぱいにTDRに足を運ぶ大勢の人の姿が目に飛び込んだ。オリエンタルランドの集客力は本当にすごいと、思わずうなってしまった。

感心するのは、オリエンタルランドが入園料を継続的に引き上げつつ、入園者の増加も実現してきたことだ。直近では2015年と2016年に500円ずつ値上げし、入園料(大人1日パスポート料金)は現在7400円となっている。

だが2018年度上半期(4~9月)の東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシーの入園者数は1551万人と過去最高を更新した。さらなる成長に向けて、同社はアルバイトの正社員転用を発表するなど、テーマパークの価値(魅力)向上に取り組んでいる。

これまで、オリエンタルランドが創造し磨いてきたテーマパークの価値を消費者は受け入れてきた。ここから先、同社が持続的に業績を拡大させるためには、さらに新たな発想があると面白い。特に、需要に合わせて価格を設定する「ダイナミック・プライシング」が加わると、実に興味深い展開が進むだろう。

なぜバブル崩壊以降も入園者数が増加したのか

オリエンタルランドの強みの一つは、集客力だ。TDRは多くの人をひきつけてやまない。毎週末、ゲート前には人があふれる。長期休暇シーズンになると、ゲートに向かうのも困難なほどだ。それは、わが国の行楽シーズンの風物詩になっている。1990年代初頭のバブル崩壊以降も入園者数は増加した。その状況を維持してきたことが、オリエンタルランド成長の秘訣だ。

わたしたちは、一人で行動するよりも、大勢で同じことをすることに安心感を覚える。かつて、“たまごっち”というポータブルゲームがはやった。ある友人は、「クラスメートがたまごっちで遊んでいるから自分もほしい」と子供にせがまれ、あまりにしつこいために買ったそうだ。大勢が特定のモノやコトを使い楽しむ姿を見ると「自分もやってみたい」と思ってしまう。それが人情だ。

TDRにも同じことが当てはまる。オリエンタルランドは、多くの人が「いきたい!」と思ってしまうアトラクションやイベントを提供し、集客力を高めてきた。さらに、宿泊サービスも運営し、日常とは異なる空間の中で余暇を満喫する楽しさを人々に提供している。それが多くの人の心をつかみ、週末や長期休暇シーズンには黒山の人だかりが舞浜に押し寄せる。