年齢を重ねると増えてくる体の変調。突然のそのとき、どこの病院に行き、どんな医師を訪ねるべきなのか。9つのポイントで検証した。第6回は「執刀医が教授vs准教授」――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです

私に任せなさい、と言えない医師に任せられるか?

結論から申しますと、こと手術に関しては「教授」「准教授」という二者択一に意味はありません。

写真=iStock.com/lyosha_nazarenko

一般の方は、外科系の教授というと手術の腕を評価されて教授に選出されるものだと思っているでしょうが、実際は違います。外科系の教授でも実は手術は苦手ということはありえます。

一方、記憶に新しいところでは、群馬大学医学部附属病院の腹腔鏡手術死亡事件のように、教授を含めた上層部が若い執刀医(当時は助教)の暴走を食い止められなかった、という例もあります。

かつては大学病院でしか最先端の医療が受けられませんでしたが、今は全体的に医療のレベルが上がり、市中病院でも大学病院と遜色ない医療を受けられるようになりました。それなのに、いまだ「大学病院・教授信仰」が根強いのは不思議な気がします。

手術とは患者の体内に刃物(メス)を向ける治療行為です。当然ながら軽い気持ちで行えるものではありません。

手術では執刀医の腕のみがクローズアップされがちですが、術前の検査に基づく手術的根拠、手術手技、術後の心身ケアのトータルな医療が実践されてはじめて「手術」といえるのだと思います。

そのうえで「よい手術」の条件を挙げますと、「迅速、正確、仕上がりが美しい」の三拍子が揃っていることです。それは術前の治療方針が的確で、むやみに体内をかき回すことなく、したがって想定外の出血がなく、輸血を追加しないで済み、予定の時間内で綺麗に仕上がった手術だということを意味します。