「熟年離婚をする夫婦には共通点がある」、夫婦問題研究家でこれまで3万件もの離婚相談を受けてきた岡野あつこ氏は、そう指摘する。その共通点とは「感謝の気持ちを伝えていない」「趣味に没頭しすぎている」「愛情表現をなまけている」の3つだ。象徴的なエピソードを紹介しよう――。

熟年離婚をする夫婦の「共通点」

※写真はイメージです。(写真=iStock.com/takasuu)

厚生労働省の最新データによれば、国内の離婚件数は年間約21万組。なかでも、結婚して20年以上の夫婦が別れを決断する「熟年離婚」の件数は、約35年前と比べ現在は2倍に伸びている。

熟年離婚の相談を受けるなかで気づくのは、熟年離婚という選択をする夫婦にはいくつか共通する特徴があるということ。そこで今回は、熟年離婚にいたる夫婦によく見られる3つの特徴について、具体的なエピソードを交えながら考察していきたい。

食事中の視線は「テレビに注がれたまま」

特徴1:感謝の気持ちを伝えていない

「ありがとう」「いつも助かるよ」「ごちそうさま」という感謝の言葉。当たり前すぎて口にすることすら忘れているなら要注意。熟年離婚という形でしっぺ返しを食らうことにもなりかねない。

<44歳・専業主婦・女性のケース>
昔から感謝の言葉がない夫。私が「今晩のおかずの味付け、どう?」と聞いても、いつも「ああ」と答えるだけで「おいしかった」も「ごちそうさま」もなく、食事中の視線はテレビに注がれたまま。虚しい日々を続けて21年目を迎えようとしている。“人生100年時代”と言われている今、「こんな人のために、この先もずっと身の回りの世話をしなければならないのか」と思うと、たまらなくもどかしい。子供が独立したら離婚をすることも考えはじめている。

日常生活のありふれたシーンでも、しょっちゅう感謝の気持ちを伝え合っている夫婦には、熟年離婚の危機が訪れる心配はないだろう。感謝の気持ちを伝えることができるのは、いつも相手の行動や心の動きに気を遣っている証拠だからだ。「言わなくてもわかるだろう」という“気の緩み”が蓄積すると、やがて取り返しのつかない結果が待っていることもある。