1人の政治家が同じ失言を2度して2度撤回

永田町で「失言大魔王」の異名をとる麻生太郎副総理兼財務相。暴言を吐いたからといって、いまさら驚く人は少ないかもしれない。しかし、今回ばかりは開いた口がふさがらない。

2月3日、少子化問題に関連して「子どもを産まないほうが問題だ」と発言。子どもを産む機会がなかった女性が聞いたら不快に思う大問題発言だ。

実は麻生氏は2014年にも、ほぼ同じ内容を発言して、撤回している。1人の政治家が同じ失言を2度して2度撤回に追い込まれたのは史上初のことだろう。

参議院予算委員会で答弁する麻生太郎副総理兼財務相=2月6日、国会内(写真=時事通信フォト)

「子どもを産まなかったほうが問題なんだから」

問題の発言は2月3日、地元福岡県芦屋町で行った国政報告会で飛び出した。

「平均寿命が高くなっている。素晴らしいことですよ。いかにも年寄りが年とったのが悪いという変なのがいるが、間違っている。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」

麻生氏の発言は、少子高齢化の責任を、子どものいない夫婦や独身女性に押しつけるようなものだ。産みたくても産めない人、経済的な事情で子どもを養うことができない人の心を逆なでしたのは言うまでもない。

暴言、失言の中には、使う言葉は不適切だが、発言全体の文脈を読めばある程度理解される例もあるが、今回の麻生発言は「即アウト」の部類に入る。

4日、衆院予算委員会で野党から批判を受け「誤解を受けたのなら撤回する」としたが謝罪はせず。5日、同じく衆院予算委員会で追及をされると「不快に思われた方がいるとすればおわび申し上げる」と、ついに陳謝した。後手後手の対応に野党だけでなく与党からも批判の声が上がる。特に公明党の山口那津男委員長は「極めて不適切だ」とかんかんだ。