今回の相談事例は、70代後半の両親と48歳息子の3人家族。母親が認知症を発症し、ひきこもりの息子は父親への暴力を激化。元会社役員の父親は6500万円の貯蓄を残しているが、このままではいずれ行き詰まる。相談を受けたファイナンシャルプランナーの出した解決策とは――。

48歳長男は母親の庇護のもと20年以上が過ぎた「結果」

相談者は、78歳の父親でした。

48歳の長男は、高校を1年で退学。その後、数カ月程度のアルバイトをしたことが何回かあるが、「年単位」で継続して働いた経験はない。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Satoshi-K)

アルバイトを辞めてしまう理由として、本人いわく、「上司が自分ばかりに『仕事が遅い』だの『順番が間違っている』、『のみ込みが遅い』といった文句を言うから」だという。20代半ばまでは不定期ながらも働いてはきたが、最後のアルバイトを辞めてからすでに20年以上の月日が流れている。

生活パターンとしては、昼ごろに起きて、テレビを見たり、本を読んだり……自室ではパソコンに向かっている時間が長いという。

おなかがすくと、母親(75)に食事の催促をする。催促されるたび、母親はできたての食事を用意している。食事は、午後(14時から15時頃)と夜(20時から21時頃)の2回とのこと。

長男と母親の関係は良好で、母親も働けない長男のことを「安心して、働ける先が見つからずにかわいそうだ」ととらえているよう。母親がやさしいのか甘やかしているのかはわからない。だが、現実的には母親の庇護のもと、なんとなく20年以上が過ぎてしまったということだ。

72歳の父親は元会社役員、企業年金を含む年金は多い

父親は息子の将来を案じ、少しでも貯蓄を増やしたいと、72歳まで会社に残り、役員として仕事を続けてきた。企業年金を含めて年金額が多いこともあり、70代後半の現在でも、家計収支は赤字になっていない。

現在の状態がずっと続けば、親が残したお金で、長男は一生働かずとも生活が成り立ち、金銭面での不安はそれほどないはずだった。

【家族構成】
父親 78歳
母親 75歳
長男 48歳
【家計状況】
貯蓄 6500万円
収入 父親年金合計320万円(企業年金含む)
母親年金 60万円
本人収入 0円
支出 年間350万円程度
※長男の国民年金保険料は親が払っている