「北朝鮮からの亡命者の乗船」という話が出回る背景

韓国軍による火器管制レーダー照射事件について、最近こんな話を耳にした。

これまで韓国国防省は「北朝鮮漁船の救助活動をしていた。人道主義的な救助のための正常な作戦行動だった。照射はしていない」と説明していたが、実はこの北朝鮮の船、小さな漁船などではなく、北朝鮮からの亡命者が乗っている立派な船舶だった。亡命者は高い地位にある人物だった。

しかしなぜか、韓国は亡命を受け入れず、北朝鮮側に引き渡そうとしていたというのだ。そこに軍事情報を収集する日本の自衛隊のP1哨戒機が近づいてきた。それで焦った韓国海軍は火器管制レーダーを照射してロックオンしてしまったというのである。

2019年1月24日、スイスのダボスで韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と会談した河野太郎外相。(写真=EPA/時事通信フォト)

亡命者を拒否する指示をしたのが、北朝鮮に擦り寄るあの文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領だという説と、文大統領に反発する韓国軍の幹部だという説の二説あるが、いずれも根拠に乏しい。

照射事件が起きたのは、昨年12月20日午後3時ごろの能登半島沖だった。密漁や密貿易をたくらむただの漁船なら分からないでもないが、北朝鮮からの亡命者を乗せた船舶だとしたら、なぜそんな船がその時間にそこにいたかという疑問は残る。

それにしてもこの話、地位のある北朝鮮からの亡命者の乗船という特別な事情があるからこそ、韓国側は無理な主張を繰り返してまで照射の事実を否定し続けているのか、と納得してしまう人も多いだろう。それだけ韓国の行動は異常なのである。

確かにこの問題には北朝鮮が絡んでいる

ところで韓国の火器管制レーダーの照射事件について沙鴎一歩は昨年12月29日付で「照射事件をはぐらかす韓国は"敵性国家"か」という見出しの記事を書いている。

記事では「北朝鮮が絡んでいるのではないか」と指摘した。その部分を再掲してみよう。

「またしても北朝鮮である。これまで南北首脳会談で北朝鮮最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と親しく握手を交わしてきた韓国の文大統領。今回の照射事件も根っこで北朝鮮が絡んでいる気がしてならない」
「文政権は支持率の最低に悩んでいる。沙鴎一歩の拙い想像だが、北朝鮮の漁船と日本の哨戒機をうまく組み合わせることで政治的なパフォーマンスを仕掛け、韓国国民の反日感情をあおり立てて支持率を上げようとたくらんでいるのかもしれない」
「それとも文政権に嫌気を起こした軍部が暴走したのだろうか」

「北朝鮮絡み」「北朝鮮と日本」「軍部の暴走」といったところを考え合わせていくと、「最近耳にした」として最初に書いた話との共通点が見えてくる。

さらに昨年12月29日付の記事では「北朝鮮にしても何かをたくらんでいると思う。日本は核・ミサイル問題で経済制裁を断行し、拉致被害者の救済を強く求める嫌な相手だ。韓国と結び付くことで経済制裁への打開策を見つけ出そうとしているとも考えられる」とも指摘した。