働き盛りのビジネスパーソンは、多少の体調不良は見て見ぬ振りをしているかもしれない。だがそれは危険だ。今回、さまざまな「病気リスク」への対処法をまとめた。第1回は「若年性心筋梗塞・拡張型心筋症」(循環器内科)について――。

※本稿は、「プレジデント」(2017年1月2日号)の掲載記事を再編集したものです。

▼若年性心筋梗塞・拡張型心筋症
【循環器内科】
どちらも40代から発症。生死のカギは1時間以内の救急処置に

心筋梗塞は1979年からの調査では発症時の平均年齢は男性が65歳、女性が75歳だった。しかし近年、食の欧米化などを背景に40代、50代で発症する「若年性心筋梗塞」が増えているという。

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「心筋梗塞は動脈内のプラーク(血管のコブ)が破れ、血栓(血のかたまり)になり、血管を塞ぐことで発症します。食生活が変化して若年で動脈硬化になるケースが増えた影響で、心筋梗塞の発症も低年齢化しているのです。高血圧や糖尿病などの持病をお持ちで、喫煙を継続している人はさらにリスクが高い」

心筋梗塞の主な症状は、胸部の激しい痛みや息苦しさ、冷や汗や吐き気。場合によっては呼吸困難も伴う。痛みが弱い場合もあるが、心臓に異常な症状が出て、それが30分以上続くようであれば、心筋梗塞の可能性が高い。50歳未満では、女性に比べて男性の発症率が10倍と高いのも特徴だ。

心筋梗塞は発症から1時間以内の救急処置が回復の鍵になる。心停止を起こす場合もあり、心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)で蘇生施術の必要がある。

発症後は軽症でもカテーテル治療などにより、塞がった血管を開通する処置をとる。最近では、心筋梗塞とストレスの関連性も指摘されるようになってきた。

「ストレスがかかると、脳が刺激を受けて様々なストレスホルモンが分泌されます。ストレスホルモンは血圧や心拍数を上昇させ、血液を送り出す心臓に負担をかけ、また血液の粘稠(ねんちゅう)度も上げるなどして、心筋梗塞を起こしやすくします」